ワールドカップでアーセナルにアピールしたい稲本
ほとんどの選手達はワールドカップ代表入りを賭けてそれぞれの所属チームで良いプレーを心がける。
しかし、稲本潤一の場合は少し訳が違う。彼は所属チームのポジションを得る為にワールドカップで良いプレーをしようとしているのだ。
これはイングランドプレミアリーグの古豪、アーセナルでデビューし不本意なシーズンを過ごしている稲本にとっても異常な状態だと言える。
昨年7月にガンバ大阪から移籍した稲本だが、アーセン・ベンゲル指揮下の経験豊富で才能溢れたトップクラスMF達の中では後塵を拝するしかなかった。
彼が得た出場機会と言えばプレミアリーグ戦やFA杯ではなく、チームとして重要度の低いUEFAチャンピオンリーグやイングリッシュリーグ杯での交代要員としてだった。
プレミアリーグとFA杯の2冠を狙えるほどのアーセナルではそもそも稲本は必要とされていなかったのだ。
そうした状況下では彼が日本に戻り代表チームのユニフォームに袖を通し、単にワールドカップでプレーする以上の事を望んでいるのも仕方のないことだ。
「ロンドンもアーセナルも気にいってます。なんとか残りたいです」と彼は言う。
「もしワールドカップで日本の為に良いプレーをする事ができれば、アーセナルに僕が充分チームの一員としての力を持っていると納得させられるんじゃないかと期待しているんです」
木曜日に神戸で行われたホンジュラスとの3−3の混戦での日本代表チームの収穫の一つは稲本のプレーだった。
彼は好調だった頃のように走り、タックルし、そしてフォワード達にプレッシャーをかけていた。3日前の1−0で勝ったスロバキア戦では見せられなかった彼のプレーに対する飢え、決心、これこそ日本代表監督、フィリップ・トルシエの求めていたものだった。
イングランドでわずかなプレー時間しか得られなかった稲本にとってフィジカルコンディショニング以上に試合勘が欠如しているというのは当たり前の事だ。そしてそれはホンジュラス戦前の「ワールドカップが始まるまでにまだ4試合あります。その全部の試合に90分間フルに出場したいです。そうすればワールドカップに向けて万全のコンディションに持っていけると思います」という彼のコメントにも現れている。
日本がグループHの中で、ベルギー、ロシア、そしてチュニジアに競り勝っていく為には稲本が万全の状態でいる事が必要なのだ。
アーセナルがそれでも彼を必要としているかは別問題として…。
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