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名波をめぐる騒動

2002/04/11(木)

 オーケイ。だから私だって、名波浩は良い選手だってわかっているんだ。でも、ちょっと待って欲しい。

 先週土曜日の名波のジュビロへの復帰はまるでキリストの降臨みたいな歓迎ぶりで、例によって日本のメディアの扱いは下にも置かぬという具合であった。
 膝の故障による6か月の戦線離脱のあと、29歳の左利きのミッドフィールダーはジュビロが1-0で勝利した神戸の試合の後半に出場した。試合は、延長の1分過ぎ、福西崇史のゴールで勝負が決した。
 結果、名波は47分足らずプレーしたことになるのだが、彼を崇拝する日本のメディアは、代表候補ではもの足りず、代表チームへ名波が即刻復帰することを求めた。

 だが、 名波は日本にとってそんなに重要な選手なのだろうか?
 彼はトップクラスの偉大な選手なのだろうか?
 フィリップ・トルシエが作り上げた現在の若きチームに、名波が付け足すものがあるのだろうか?

 たぶん私はメディアの少数派に属しているのだろうが、上記の3つの設問には「ノー」と答えたい。

 名波のことを考えると、私の思考はポジティブではなく、ネガティブなものとなる。
 不注意なヒールキックでボールを奪われてしまったシーンが思い出されてしまうのだ。まあ、そのときも技巧に観客は歓声をあげたりしていたのだが。
 3年前にイタリアのベネチアに入団したときのことも思い出されてしまうのだ。いかんせん弱体チームで彼は結果を残すことができなかった。ほとんどのシーンで、彼は左サイドに張り付いたまま。そこにいることが幸福であるように見え、総じて言えば何らかの印象を与えることはなかった。

 さらに私には、中国戦での日本代表メンバーであった姿が思い出されてしまうのだ。その試合では、トルシエは彼を左サイドに起用したのだが、彼がしたことといえば、イタリア仕込みの審判団との口論のみ。
 2000年10月、日本が優勝したレバノンでのアジア・カップで彼がMVPに選ばれたのは認めよう。しかし、相手の実力を見ることも大切ではないだろうか? ウズベキスタンの実力は? イラクは? カタールは?

 技術的に言えば、名波はもちろん良い選手である。左足のプレーが過度に多いが、なかなかのパサーであり、試合を見る目もあるし、危険なフリーキックも持っている。
 しかし、最高のレベルで成功するにはより以上のものが必要となる。
 必要なのは、ハートであり、気迫であり、精神力であり、決断力であり、エネルギーであり、打てば響くということなのである。このような面で、私は名波が代表に値するのかと疑うのである。

 ミッドフィールド左サイドでの名波の起用を考えているとトルシエは言うが、この発言は私には意外である。名波にはスピードがないし、ディフェンスの裏に回ることもほとんどないからである。
 中央の攻撃的ミッドフィールダーのポジション争いは中田英寿、森島寛晃、小笠原満男らがすでにリードしており、名波に空いているポジションは守備的ミッドフィールダーしかない。
 ボールを奪うだけでは名波は満足しないだろうし、名波がタックルできない場合に備えて誰かを配置するのは好ましくない。

 もちろん、私は名波がチームの救世主になるだろうとはまったく思ってはいないし、先週土曜日に名波が復帰したさいのメディアのヒステリックな歓迎ぶりにも驚いてはいない。
 私は思うのだが、彼を選ぶことは時代を逆行することになるのではないだろうか。なんといっても、日本代表チームは最近の数ヶ月、名波なしでも極めて良好な結果を残してきたのである。

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