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トップチームの試合に出ていないことへの不安

2002/01/17(木)

Jリーグのトップ・プレーヤー達が今年最初の代表候補合宿に準備を進めている一方で、監督であるフィリップ・トルシエは合宿に参加しない選手達への懸念を深めていることだろう。
 つまり、海外でプレーしている、高原直泰や稲本潤一のことだ。
 2人は昨年Jリーグをあとにした。ストライカーの高原はジュビロ磐田からボカ・ジュニオルスに入団し、ミッドフィルダーの稲本はガンバ大阪からアーセナルに移った。

 とは言っても、2人の姿はトップチームのゲームではほとんどお目にかかれず、ワールドカップまで残り5カ月もない現在では、トルシエにとっては不安の種にちがいない。
 稲本と高原は、トルシエが世代交替させた日本代表チームの代表的な存在である。トルシエにより、2人はユース代表からオリンピック代表を経て、A代表に抜擢されたのである。

 数か月前までは、2人は文句なくワールドカップの日本代表選手であった。しかし、現在では試合に臨む準備ができているかどうかが疑問であるし、なにより新しいクラブで認知してもらおうと懸命な2人が自信を維持できているかどうかもわからない。
 トルシエは、Jリーグで試合に出ている選手よりは、たとえ毎日トレーニングしているだけでも海外のクラブにいる選手を選ぶと口外しているものの、高原も稲本も昨年10月の代表のヨーロッパ遠征では絶好調からはほど遠い状態であった。

 韓国でトルシエと同じような立場にある、オランダ人のフース・ヒディンク監督はまったく異なった意見の持ち主である。ヒディンクは、選手がどこのチームのベンチを暖めているかには関心を払わない。つまり、どこであれ自分の所属するクラブのトップチームでレギュラーを張れない選手は、代表チームの先発に入る可能性も少なくなるということだ。

 代表チームのストライカー、西澤明訓はすでにボルトン・ワンダラーズを去り、日本に戻ってしまった。トルシエは、たとえ小さなクラブへのレンタル移籍であっても稲本、高原にとっては幸いである、と考えていることだろう。
 その他の海外組の日本人選手では、ゴールキーパーの川口能活は苦労しながら経験を積んでおり、中田英寿は一貫してプロフェッショナルであり続け、パルマの苦境にも動じる気配はない。

 フランスの伝説的プレーヤー、ミシェル・プラティニは逆境の中田に対して別の見方をしている。
 「毎週クラブでプレーしていないのなら、ワールドカップは万全でフレッシュな状態でプレーできるだろう」とかつてのユベントスのキャプテンは言う。
 ワールドカップが近づくなか、トルシエも同じフランス人であるプラティニほどポジティブでいられんことを。

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