フーリガンに困惑する日本
最近の二つの面白い出来事により、ワールドカップでのお行儀のよろしくないファンへの対応においては、日本では困惑と誤解がトレンドになっていることがわかった。
ワールドカップと言えば、必ずフーリガンの来襲にどう対応するかという話題になる。とくに、イングラントとドイツがどちらも1次リーグを戦うことになった日本では、この傾向が強い。
イングランドが「死のグループ」でアルゼンチンと戦う札幌では、警察がスパイダーマンみたいな「ネットガン」をテストしている。これで乱暴なファンを一網打尽にしようというのだ。
「乱暴をはたらく者はみんなこのネットで捕まえて、動けないようにします」と広報官が誇らしげに語る。
「同様の物がヨーロッパでも使われていたそうですが、これはワールドカップ用に独自に開発したものです」
想像できるかい?
イングランド代表のエンブレムがついたTシャツを着て、少しばかりビールをきこしめして、仲良く歌っているチェルシーファンのグループが突然、身震いしながらネットガンを構えている札幌の新米警察官のターゲットになるのである。
そりゃあ、怒るよ! ネットに反発したファンが徐々に「乱暴な」振る舞いに及ぶのが、私には想像できる。そうなるとお笑いである。
問題は、フーリガンが存在しない日本で、浮かれ騒いでいるのと紛れもない暴力行為の違いを人々がわかっているのかということだ。
絶対に、わかっていない。先週の土曜日埼玉で催されたイベントを見ればそれがわかるかもしれない。
埼玉のワールドカップ委員会がボランティアのために研修会を開催し、フーリガンのように騒ぎたてる役として、5人の英会話教師が採用された。
(はっきりしているところでは、5人分のポストに18人の英語教師が応募して、推測するところでは、英語教師が普段絶対やらない仕事に対して時間給が支払われた。ひどく振る舞うことで収入を得たのであるが、これはそれほど特殊なことでもない。だって、マイク・タイソンはこれで巨万の富を得ているじゃないか!)
この研修会の目的は、ボランティアたちにイギリスのサッカー文化とはどのようなものであるかを示すとともに、勝利を祝う威勢のいいファンと暴徒化しつつあるファンの違いをボランティアが理解し、見分けられるようにすることであった。
まあ、この研修ではなにもかもがめでたし、めでたしと解決しましたとさ。ボランティアとファン役が一緒になってEuro96のテーマ曲をコーラスしたんだから。「帰ってきたよ、帰ってきたよ、・・・フットボールが帰ってきたよ」
おいおい!
日本での試合のチケットを入手できなかったファンも、ストリートで展開されるもうひとつの楽しいショーは見ることができるかもしれない。
ただし、ネットには注意しよう!
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