« トルシエの決断 | トップページ | 西澤の移籍で明らかになった問題点 »

トルシエと三都主

2002/01/10(木)

 Jリーグのスターになることと、フィリップ・トルシエの関心を得ることはまったく別の問題である。
 この問題に直面しているのは、ブラジルから日本に帰化した、清水エスパルスの左ウイング、三都主アレサンドロである。

 24歳である彼の能力に疑いの余地はない。1997年にエスパルスに入団して以来、一貫して勝利に貢献する働きを見せてきた。
 1999年、エスパルスがセカンド・ステージで優勝し、チャンピオンシップではPK戦の末ジュビロ磐田に敗れた年には、彼はJリーグのMVPにも輝いた。
 彼は一人の才能豊かな選手である。ゴールを決めることもできるし、アシストもできる。スピード、ボール・コントロール、ドリブルはつねに脅威である。

 しかし、同じように才能豊かな中田英寿が辟易しているように、トルシエはチームの一員として適応できない選手には関心を示さない。
 三都主がなおも全力でしなければならないのは、この面でのアピールである。
 トルシエは、それを証明するチャンスは与えてくれる。鹿児島で2週間にわたって行われる、2002年の最初の代表候補合宿に三都主を招集したからだ。

 三都主は、1994年、高知の明徳義塾高校でプレーするためにブラジルから日本に渡り、昨年11月に日本国籍を獲得した。
 とはいえ、これで自動的にトルシエの最終選考枠の23人に入ったことにはならない。一方、1998年9月の代表監督就任以来の3年間ともに仕事をしてきた選手達にフランス人の監督が義理を感じるということもありえない。

 トルシエはすでに、ワールドカップ後に日本を去ることを明らかにしている。必要なのは、今年の夏に結果を出すことだ。
 新参の三都主が、たとえば中村俊輔や本山雅志からポジションを奪ったとしても、それはトルシエが単に最強のチーム作りを目指したからにすぎない。

 結局、三都主に日本国籍を取らせたのはトルシエではないわけだし、トルシエがしなければならないのは、自らの裁量で最高の選手を選考することなのである。
 1月10日、トルシエは年末年始の休暇から戻り、1月21日からの合宿の計画を練り始める。

 三都主がすべきことは、Jリーグで培った実力を余すところなく発揮するだけでなく、むしろ過剰なくらいのアピールで、2002年ワールドカップでの自分の役割をあらためてトルシエに認識させることである。

固定リンク | | コメント (0)

コメント

この記事へのコメントは終了しました。