トニーニョ・セレーゾは今でも特別な存在
トニーニョ・セレーゾが語ると、人々は耳を傾ける。そして、トニーニョ・セレーゾが踊ると、人々は喝采する。
ショーがストップした瞬間。月曜日、横浜アリーナ、きらびやかなJリーグ・アウォーズの夜。
鹿島アントラーズを率いるブラジル人監督は2年連続でチームをリーグ・チャンピオンの座に導いた功績により、ステージで年度優勝監督賞を受けることになっていた。
赤じゅうたんの階段からステージにあがったとき、トニーニョは突然阿波踊りをはじめ、列席の著名人やJ−ポップのスターに贈るような歓声をあげていた約2千人の女性ファンらの称賛を浴びた。
「サンフレッチェの藤本に習ったんだ」トニーニョは、広島の藤本主税のゴール後のパフォーマンスを引き合いに出した。
爆笑が静まると、トニーニョは語った。技術、戦術、ファン・サポートの各方面における、ここ10年間のJリーグの進歩に驚いている、と。
「こんなことは、世界のどこでも見たことありません」1982年ワールドカップ・スペイン大会で、ジーコ、ファルカン、ソクラテスとともにブラジル代表の豪華絢爛たる中盤の一員であった、トニーニョの言葉だ。
彼ら4人は、ブラジルでは「黄金のカルテット」として知られていたが、トニーニョ自身も、ベスト・イレブンに選ばれた、中田浩二、小笠原満男、柳沢敦ら、鹿島での「黄金の若者達」を得たのである。
また、ジュビロ磐田を讚える言葉もあった。チャンピオンシップの2連戦で延長の末のVゴールにより、鹿島が通算スコア3対2で破った相手だ。「どちらも、高い資質、戦術、技術をもったチームだったと思います」。
日本サッカー協会の後援者であり、皇室の一員である高円宮殿下のお言葉も、トニーニョのスピーチをサポートしてくれた。Vゴール・システムの延長戦で、小笠原のフリーキックにより鹿島が勝利した、チャンピオンシップの第2戦に、殿下はおふれになった。「中身の濃い、本当に素晴らしい試合でした」。
「10日前、ヨーロッパと南米のチャンピオンが戦うトヨタ・カップを東京で観戦いたしましたが、今回のJリーグの試合はそれよりずっと良かったように感じました」。
高円宮殿下のすてきなお言葉と本人のすてきな阿波踊りは、トニーニョ・セレーゾがスポット・ライトの当たる場所では今でも特別な存在であることを教えてくれたのである。
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