ブラジル人選手からの悪しき影響
3人いるブラジル人選手のうち2人しか出場しなかったものの、浦和レッズは24日の天皇杯準々決勝でジェフ・ユナイテッド市原を2−1で破った。
抜群のスピードを持つストライカー、エメルソンが母親の看病のためにブラジルに帰ったが、トゥットと新たに獲得したアリソンがジェフに立ち向かった。
2人ともゴールはなかったものの、試合には多大の影響を及ぼした。
良い影響もあった。たとえば、右足のアウトサイドでのアリソンの絶妙のパス。あるいは、トゥットのボール・キープ力もそうだ。しかし、悪しき影響のほうがずっと多かった。
ジェフが前半戦を支配すると、ブラジル人の監督ピッタが指揮する浦和のプレイはおなじみのパターンに陥ってしまった。
アリソンが中盤でボールをもらうと、前に突破。それから、相手がほとんど触れてもいないのに大げさにひっくり返る。
アリソンは苦悶の表情でピッチ上を転げ回る。コンパクトな仙台スタジアムでは、アリソンのわめき声が観客席のざわめきを通しても聞こえてくるほどだ。そして、トゥットが主審の布施直次に駆け寄り、カードを出すように要求する。
ほんとに後味の悪い光景だった。日本のプロ・サッカー・リーグはすでに9年目のシーズンを終えており、こういう行為はもはやまったく意味をなさない。
ジェフもまったく責任がないとは言えないだろう。キャプテンの長谷部茂利が開始早々、タックルでひどく負傷したように装い、悪しき前例を作ってしまったからだ。
足首を抱えて長谷部はグラウンドに倒れていたが、FIFA審判員である布施が無視すると、すくっと立ち上がり、すぐにボールを追いかけ始めた。「負傷」は、奇跡的に数秒で治ったのである。
ただし、アリソンの場合にはまさに正義の鉄槌が下された。ボスニア人のミッドフィルダー、エディン・ムイチンが34分にゴールしたときのことだ。
中盤でボールを奪われたアリソンは、なんとなんと、倒れ込み、ありもしないファールをアピールしたのである。
守備に戻ってチームメートを助ける代わりに、アリソンは主審を欺こうとしたのである。彼がピッチに寝転がってスネている間に、前線ではムイチンがジェフのゴールをあげていた。
エメルソンが出ていたら、ファンは同様の行為をもっとたくさん見せられたかもしれない。敏捷さをもつエメルソンこそが達人であり、勝負できる状況でもフリーキック、ペナルティー・キックを勝ち取ってしまうのである。
これは日本での危惧すべき傾向であり、浦和のブラジル人選手達はかかる悪病の感染に多大な影響を及ぼしている。
レッズ・ファンはこの国では最高のファンであり、29日に埼玉スタジアムでプレイされるセレッソ大阪との準決勝を楽しみにしていることだろう。
しかし、できるものならば、トゥットとアリソンには各試合の前に持ち込まれるフェア・プレイ・フラッグに対する自分たちの責任を認識してもらい、母国の誇りであり、伝統であるサッカーの良い面を見せてもらいたいものである。
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